「怪我が痛いんですか?」 高原が心配そうに私の顔を覗く。 首を横に振った。 怪我じゃない、怪我なんかより、胸が痛くて苦しい。 「ごめっ…なさい。」 涙が出て、上手く口が回らない。 深呼吸して、再び言葉を発する。 「あのとき逃げて、ごめんなさい。」 「もうこんな風に話さないのは嫌。」 高原は私の言葉を聞いて、わかりやすく溜息をした。 私のことを否定しているようだった。 確かに私は我儘だ。