「本当に‥‥うざい‥‥」


「一さん‥‥泣いて‥‥」


「触んないで!」


私は私の頬に手を伸ばしてきた中村くんの手を振り払った


「本当は私‥‥中村くんの事なんて‥‥大ッ嫌い!!」



え‥‥


今‥‥私なんて言った?


大嫌いって‥‥ちがうのに‥‥


言わなきゃ‥‥違うって‥‥本当は‥‥本当は‥‥



「ごめん‥‥

僕、ウザかったよね‥‥もう一さんには近づかないから‥‥それじゃ‥‥」


中村くんはそう言って教室を出ていった


待って‥‥待って‥‥違うの‥‥


言葉にならない声が私の口から溢れ出る


手を伸ばしても、その手が中村くんを掴むことはなかった