目を開けると、予想よりも近い距離に
橘くんの顔があった。


『…お前』





私のことをお前と言うだけで、

それ以上、橘くんは何も言わない。



もうこの先の言葉を聞きたくない。



ウィッグはまだしてるとはいえ
絶対、絶対バレた。




橘くんの手がウィッグに触れる。


そして……


























『……モデルのshionだろ』



































………バレた。







転校初日からバレるなんてありえない。

しかも相手は橘くん……





『…触らないで!帰って!』





涙ぐみながら強引にメガネを取り返すと
橘くんの胸を押した。




そのまま駆け足で家のドアを開けて、
橘くんのことなんかお構い無しに
家の中に入った。







……やばい。





やってしまった、
橘くんにあんな態度取っちゃった…


口止めだってしてない


明日、学校行ったらどうなるんだろう








私は玄関で頭を抱えてしゃがみ込んだ。