『いや、あの…決して盗み聞きをしていた訳では無いんです』


慌ててお弁当を持って立ち上がり、
否定して見せた。












そして、橘くんは歩いて私の方に近づいてきた。



何、何されるの私!!




後ずさりをしていると、
屋上のフェンスに追いやられてしまった。





『……』




無言、無表情で私を見下ろしてくる橘くん。

怖い、怖い……顔が、近い!!










『ブスお前いつからここに居たんだよ
全部聞いてたってことだよな?』



橘くんは強い口調で言い放った。




な、なんですって!?



ブス???




隣の席になったとき、あんなに
優しい目で私を見つめてくれたのに


今はまるで別人…








やっぱり、これが本当の橘くんなんだ。













『ちょ、ちょっとブスなんて言葉
許せない!』


『へぇそんな地味な見た目でよく言えるね
しかも案外すぐ怒るんだねー』









やばい。





思わず 地味子って設定忘れてた……





『おい、ちょっと歩夢。
お前大丈夫かよ、神対応王子だろ』


後ろから橘くんと一緒にいた男子が
焦りながらやって来た。



この人、近くで見て気づいたけど
同じクラスの三浦くんだ…


橘くんの裏の顔を知ってるなんて、
よっぽど仲がいいのかな。




『……チッ三浦もう行こうぜ』


橘くんは舌打ちすると、
回れ右をして出入口のドアに
向かっていった。




橘くんたちがいなくなったのを確認すると、
私はドサッと座り込んでしまった。














橘くん、あの人は何者なの?


なんで表裏があるの?



アイツの本性 腹黒すぎ。


神対応王子なんて、
そんな風にはとても思えない。

優しさの欠片もないし神対応なんかじゃないよ…