最悪だ。




なんで、あの人が隣なの!



絶対また女子に何か言われるって!






不満を隠しながら、
指定された席へ移動した。



隣の席の橘くんの顔を一切見ずに椅子に座る。







『まさか同じクラスになるなんてびっくりしたよ、なんでこっち向かねーの?』



それなのにいきなり橘くんに声をかけられ、その声に思わずビクッとしてしまった。



『いや…別になんでもないです』


『なんでビクッてするの?俺が怖いの?』



橘くんの方を見ると、
真っ直ぐな瞳で私を見つめていた。



本当にかっこいい、そんな目で見つめないで…って何考えてるの私!


相手は何考えてるんだかわからない橘くんだよ??



『怖くはないけど、』



『じゃあそんなおどおどしなくていいから。ね?』



今朝、あの女の子たちに見せたあの笑顔を


いまは私に向けている橘くん。


口調も、表情も、


まるで別人……



私は橘くんの何を見ていたんだろう。


そしていま何を見ているんだろう…




『うん…』



キーンコーンカーンコーン


なんとか橘くんに返事をすると、
直後にチャイムが鳴った。



『ホームルーム終わりにします』


先生の一言で号令がかかり、
ホームルームは終了した。