「よも、何時に行くの?」

「え?…あぁ!?」

 しまった!?
 今日の取引は2つ離れた駅なのです。

 今から急いで家を出て電車に乗ればぎりぎり間に合いそうです。

「片づけはいいから、いっておいで。気を付けるのよ?」

「うん!ごめんなさい。お願いします」

「よも、敬語禁止だからね~?」

 リビングから聞こえてきた声に、思わず苦笑い。

 お父さんもお母さんも私に敬語を使うことを禁止しているんです。

 流石に中学生になれば、本当のお父さん、お母さんじゃないことは分かる。
 だから、敬語を使ったら思いっきり怒られました。結構怖かったです。

 そんなことを話している場合じゃなく!!

 黒いパーカーを羽織って、家を飛び出します。
 え~と、変声機はちゃんとポケットにあるから大丈夫!自転車に飛び乗って駅までダッシュです。