『とにかく離せ。痛い』

「え、あ…悪い」

 ようやく離してくれた手。掴まれた腕はジンジンしています。
 うわぁ、手形残りそう…。

 それより、神野くんは一体何の目的で情報屋に近づいたのでしょう。

 場合によってはそれ相応の覚悟も必要ですね…。

『何の用だ』

「…俺を、あんたの仲間にしてほしい」

 仲間…?

 それは、どういう意味でしょうか。
 情報提供者としての協力者なのか、それとも活動を共にし、背を預けるという意味での仲間…。

 神野くんの言っているのはおそらく後者。


 そんなの、答えは決まってる。


『必要ない。俺は1人でやる』

「1人で全部背負うのかよ」

『それがどうした。俺は今までずっと1人でやって来たんだ。今さら仲間など必要ない』




 そうだ、必要ない。情報屋としての私にも、晴野蓬としての私にも。




 仲間なんか、必要ない。