「情報屋さん、お願いがあるんですが」

「あなたも情報が欲しいのですか」

「はい。たった1つだけ…。以前、ここにいた男の子が、高校生になり出て行きました。その子は、情報屋さん、あなたを探しています」

「私を…?」

「はい。施設を救ったあなたを探し、力になりたいと言っていました。4月以来、その子の顔を見ていません。情報屋さん、私の代わりにその子のことを少しだけ見守って欲しいんです。あなたのことだから、仲間は作りたくなさそうですから…」

 施設長さんは本当にその子のことを心配しているのですね。
 施設長さんとは長い付き合いです。このお願い引き受けましょうか。

「いいですよ。その代わり、私からもお願いがあります」

「なんですか?」

「情報屋を必要としている人に私の連絡先を教えてあげて欲しいのです。施設長さんの判断で、本当の意味で私を必要とする人だけに」

「…つまり、悪徳行のような方にはお教えしないということですね」

「はい。情報屋がここに寄付していることはなぜだかよく浸透しています。尋ねて来られる方も時々いたでしょう。ですから、本当に困っている方にだけ、教えてあげてください。私がここに寄付に来るたびにアドレスを変えます」

「ここが情報屋の情報を発信する場となるわけですね」

「そういうことです」

「分かりました。大切な役割、引き受けいたします」