「あ、ねーね!!」
「え?」
振り返ると、保育園の服を着た智希が走って来るではないですか。え、お母さんは!?
「ねーね!」
「ともくん、お母さんは?」
「ねーね、ぎゅうってして!」
ともくん、だからお母さんはどこですか!?
そしてお望み通り抱きしめている私も私ですが!
私の胸に顔を埋めている智希は本当に嬉しそうに微笑んでいます。
はう、天使…。
「とも!!」
「あ、ねぇね~」
「お母さん!」
よかった。お母さんは望亜と一緒でした。
この様子だと智希がまた走って行ってしまったんでしょうね。
お母さんは安心した様子で、のんびり歩いてきます。
よちよちと懸命に走ってくる望亜がかわい過ぎます。
「もう、ともったら急に走り出すんだから」
「だって、ねーねいたもん」
「ねぇね、だっこちて?」
ようやく私の元にたどり着いた望亜が足に抱きついてきます。
抱っこしたいのは山々ですが、智希が離れてくれません。
「ともくん、みあちゃんと交代だよ」
「やだ!」
「ともくん?」
「やだ!」
珍しいですね。智希がこんなに嫌がるなんて。望亜は泣かないで~。
お母さんが抱っこしても、望亜はずっと私に手を伸ばしてきます。あう、かわいい…。


