不意に耳に飛び込んできたチャイムの音。
 いけない。すっかりぼうっとしていました。それでも、ノートはちゃんと書いてあったのでいいや。なんだか疲れちゃいました。

「晴野、帰りどっち」

「…私に構わないで」

「嫌だと言ったら?」

「…」

 荷物をまとめ、教室を出ます。後を神野くんが付いてきますが、放っておきましょう。
 どうせ、神野くんとはただのお隣さんなのです。

「え?」

 行きついた先は職員室。神野くんは戸惑っていますが知りません。

「公庄先生、いらっしゃいますか」

「あぁ、晴野か。応接間に行こう」

「はい」

「え、おい晴野」

「ついて来ないで。もう、うんざりです」

 引き留めようとする神野くんの手を振り払い、私は公庄先生が待つ応接間に向かいます。