「…よも」

「は!?」

 あ、声が勝手に飛び出した!
 じゃなくて、よもって誰が呼んだんですか!?

 横を見れば、神野くん。…あなたがですか?

「大宮と仲いいの?」

「…私が仲いい人なんていません」

「…なら、俺は」

「はい?」

「俺は、晴野の友達になれるかって言ってんだ」

 神野くん、私はあなたが何を考えているのか分かりません。
 今日お隣さんになっただけで、どうしてそんなに話しかけて来るんですか。


「…無理です」

「なんで」

「なんでって…私といたら嫌われます」

「別にいい。晴野が俺のこと嫌いにならなきゃいい」


 本当に、分からないです…。


 うつむいていると、公民の先生が入ってきました。授業が始まると、神野くんは話しかけてこなくなりましたが、視線はずっと感じています。