1人ぼっちと1匹オオカミ(上)


「よもちゃん、あいつとどういう関係?」

 うぎゃ~!!
 と、悲鳴を上げたらどうしてくれるんですか!

 さりげなく後ろに立っている雷斗くんは、かなりご立腹のようです。
 しかもよもちゃんって言った!!

「…」

 約束破るなんてひどいのです。雷斗くんはしばらく無視の刑です。

 とりあえず本当の席に戻って、先生から借りた本を読み返しましょう。今日返すお約束なのです。

「晴野さん?」

 む、雷斗くんしぶといですね。ですが、あなたのことは私の視界に入っていないのです!!

「…はぁ、何かあったら言ってよ」

 雷斗くんはため息をついて、どこかへ行ってしまいした。ふぅ、やっと窮地を脱しました。