授業が始まってしばらくして、肩をとんとんされました。叩いたのは神野くんですね。ノートを指差しています。また忘れたんですか。
面倒くさいので新しいノートを机から出して神野くんにあげます。
少しびっくりしたようで、いいのかと口パク。頷くとまた口角を上げるだけの笑みを浮かべて、さっそくノートを取り始めました。
意外とまじめさんなのでしょうか。
「これでこの小説は終わり。次回までに感想文を提出するように」
授業を30分も余らせて今日の内容はおしまいのようです。
きっと、家ではやらない生徒のために配慮ですね。先生は少しだけ優しいです。
ではその優しさに甘えて早速書きはじめましょうか。
「…晴野、教科書見せて」
「…私も見たいです」
「じゃあ、横から見る」
では教科書を机の真ん中にしましょうか。
って、えぇ!?神野くんち…近いです。なんで教科書覗き込もうとしているんですか!
ガタンと椅子が倒れる音。振り返れば雷斗くんがかなり怒ってる。なんで~!?


