1人ぼっちと1匹オオカミ(上)


「雷斗、一緒に戻ってください」

「げぇ」

 雷斗くんも一緒に戻るんですね。一緒に教室まで行きたくないですね。

「雷斗くん、先に行きます」

「え、別に一緒に戻ろうよ」

「嫌です。女子の視線が痛いです」

「俺が守るから」

「携帯小説のようなセリフありがとうございます。ではお先に」

「よもちゃん話聞いてる?」

 朔夜さんにペコッと頭を下げて屋上から退出です。
 雷斗くんが追っかけて来る前に出来るだけ先に行きましょう。

 またまた人気のなさそうな階段から下に降りて行って、教室にたどり着きました。
 ふぅ、一仕事終えた。

「きゃぁああ!!」

 廊下より黄色い歓声。と同時に雷斗くん登場。

 若干睨まれた気がしましたが気のせいでしょう。