「晴野、お前勉強できる?」

 まだ話しかけてくるんですか。先生のお話聞き逃しちゃいます。なので、聞こえないふりで応戦です。

「晴野、聞けよ」

 いやいや、今は先生の話以上に大事なものなどありません。

「はれの」

 わざと間違えないでください。

 あう、先生字が達筆すぎて読めません…。何とか音の情報で…。

 ガタンと音がする。と同時に、机にわずかな振動。横を見れば…おおう!?

「神野くん?」

「教科書忘れた」

 左様ですか。ではまず教科書忘れたから見せろなり言ってください。
 なぜか机をくっつけられてしまいました。授業はつつがなく進みます。

「晴野、お前ガリ勉?」

「ノート忘れた。1枚くれ」

「晴野」

 さっきからうるさいですね!おじいちゃんの声は聞こえにくいんですよ!!

「授業中は話しかけないでください」

「あ、真面目ちゃんか」

 神野くんは少しつまらなさそうにすると、案外素直に聞いてくれて話しかけてこなくなりました。
 でも、机はくっつけたままで、授業を聞いている風ではないですね。

 そんなこんなで授業は終了。ノートをパタンと閉じた頃には先生退出。速いです。