「で?」

「はい?」

「大宮に脅されたのかって話」

 まだそれ続いてたんですか。大体、雷斗くんが私を脅すなんてことあるわけないじゃないですか。

「違います。交換しただけです」

「こんな前の席と?」

「私は前がいいので」

 淡々と答えると、神野くんはやっぱり変な奴と言われました。変な奴呼ばわりされた覚えはないんですがね。

 本当に何なんですか?神野くんが分かりません。

 そんなことを話していると、数学の先生が入ってきました。先生は荷物を教壇に置くと、あいさつもろくにしないでチャイムと同時に黒板に何やら書きはじめました。

「昨日の続きですが、教科書は…」

 先生、せめてあいさつはしましょう。とりあえずノートを開いて昨日の続きから。