「やめてくださいッ。神野くんは私の友達だって、昨日言ったじゃないですか!神野くんも、もういいから教室行きましょ?ね、ケンカしないでください!」

「蓬、どけ」

「嫌です!神野くん殴ったら、嵐鬼のこと、本当に嫌いになりますよ」

「よもちゃん!」

「雷斗くんもいい加減にしてください!何回神野くんとケンカしているんですか!」

 この場を収めたいのに全然収まる気配がありません。周りの視線もどんどん酷くなる。

 嫌だ、見ないで…。私はッ…!

「…神野くんも嵐鬼ももう知りません!!二度と話しかけないで!!」

「え、ちょ、晴野!?」

「蓬!!」

 野次馬をかき分けて教室に向かう。

 後ろから神野くんが慌てて追いかけてきますが、もう知りません。

 なんであんなに目立つことするんですか。なんで話を聞いてくれないの?

「晴野、おい!!」

 野次馬に阻まれて神野くんの声が遠くなる。今のうちに逃げちゃいましょう。

 何とか昇降口にたどり着いて、上履きに履き替えて教室に向かいます。

 教室に向かうまでも視線が絶えない。

 もう、私に構わないで!!