智希が先頭に家まで帰ると、とりあえずお母さんはソファで横になってもらい、神野くんは少し招待しました。

 もちろん、智希の機嫌は悪いです。
 望亜はお母さんにべったりなんです。きっと、心配なんですね。

「…晴野、俺帰るわ」

「あ、でも」

「お母さんしんどそうだし、そいつも俺がいると気張ってるみたいだからな」

「…ごめんね。また明日」

「あぁ、見送りしなくていいから。お邪魔しました」

「あ、ごめんね。荷物運んでもらっちゃって」

「いいですよ。この前のお礼ということで」

 神野くんはじゃあなと立ち上がり、玄関へ向かいます。
 一応玄関までと思ったんですが、智希がしがみ付いてきたので、諦めました。

「お母さん、夜どうする?わたしやろっか」

「ううん。大丈夫…よも、あんたその耳どうしたの」

「え、あ…これは…」

「ただいま」

「あ、お父さん」

 振り返ったらお父さんです。今日は帰りが早かったんですね。

 ってあれ、なぜかお父さんの右手に神野くんが捕まっています。