「でも、颯人さんがいてくれなかったら今回の依頼、蹴るしかなかったから…」

「でも、繋げたのはよもぎちゃんだ。俺は連絡先を教えただけ。本当はそれを教えるだけでもよかったのに、よもぎちゃんは承諾にまで持ち込んで依頼者に引き渡した。貰った報酬以上に仕事をしちゃうのがよもぎちゃんの悪いところだよ」

 褒められているのか、怒られているのか分かりません。でも、言われた通りかもしれない。

 今回の依頼の報酬は5万円。これは私から持ちかけた金額。
 相応だと思っていたけど、お父さんは眉を顰めていたから、似合わない金額だったんでしょう。

 でも、これから依頼者はもっと莫大な金額を必要とする。
 そんな時に、情報料を高くするわけにはいかないって思ってしまったんです。

「まぁ、そこがよもぎちゃんのいいところなんだけどね」

「…颯人さん。情報提供者として、あなたにも報酬を…」

「いらない」

 そんなばっさり!?

 思わず絶句です。颯人さんは微笑んで、私の頭を撫でてくれる。

「その貰った報酬、いつも通りなんだろ?なら、そうしてくれればいい。寄付ということで」

 そう言われては無理には渡せませんね。