「雷斗くん、痛いですッ」

 雷斗くんは私の言葉を無視してどんどん階段を上って行きます。
 雷斗くんが通るたびに奇声が上がりますが、そんな声もすぐに止んでしまします。

 どうしてそんなに怒っているんですか…?

 怒っている雷斗くんに抵抗する気も失せてきて、今では大人しく雷斗くんの後について行きます。

 掴まれた手首が痛い…。雷斗くんの手にはずっと力がこもっていて、その横顔も険しいままです。

 そのままたどり着いたのは屋上。
 あう、12月も近い時期に来たら寒いですよ…。

 雷斗くんは迷いなく屋上のドアを開けて足を踏み入れました。
 あう、やっぱり寒い…。

「あれ、雷斗あんた授業出るんじゃなかったの?」

 聞こえてきた声は輝星さんです。輝星さんの位置から私は見えないようで、いきなりやって来た雷斗くんにびっくりした様子です。