「晴野、俺を信じてくれ」

「…はい」

 顔を上げた晴野は、不安の中に安心を見せて、泣き笑いな顔を見せた。

「19時、ここに来てください」

「分かった。…送って行こうか?」

「…大丈夫です。それに、送ってくれるなら夜がいいです」

「え?あ…会って欲しい奴と帰らねぇの?」

「…神野くんと帰ります。…晴野蓬として、あなたと帰れるように」

 晴野蓬として…?

 晴野は謎の言葉を残すと背を向けて歩き出した。

 その顔はもう泣いていなくて、俺の手を振って家に走って行った。

 晴野の後ろ姿を見送って、時計を見上げるともうすぐ18時。
 あと1時間後。

 帰るのめんどくせぇな…。


秋空side END