「…引いた?」

「え?」

「なんか、変な風に思わせた?」

「…ううん。でも、どうして話してくれたんですか」

 神野くんは目を丸くした後、くすっといきなり笑い出しました。

 …不気味です。

「晴野は同情しねぇんだな」

「へ?」

「こういう話しすると大体、かわいそうとか言われてた。でも、晴野いきなりなんで話してくれたって聞いてきたから」

「…神野くんは同情されたくないじゃないですか」

「え?」

 今度はびっくりされています。神野くんは忙しい方です。


 同情されたくない。
 だって、私は幸せだから。


 神野くんはお母さんの話をするときこそ、辛そうでしたが施設の話は楽しそうだったんです。

 そんな人に、かわいそうだねなんて言葉、似合うわけないじゃないですか。

「…やっぱ、晴野変わってるわ」

「貶されてます?」

「うんや。むしろ、褒めてる。…話したのは、自分のこと話してないのに相手に聞くってずるいって思ったから。だから、勝手に話した」