「晴野」

「はい?」

「お前、過去になんかあった?」

「…」

 思い出したくないです。
 あんな記憶、無くなっちゃえばいいのに…。

 神野くんは黙りこんだ私に、表情を歪め、悪いと謝ってきました。

 なんだか今日の神野くんは今までの強引さがありません。

 だから、安心できるのかな…。

「話したくなったら話せよ。その湿布も」

「…はい」

 多分、神野くんには話せないけど、自然と頷いていました。

 すると、神野くんは微笑んでくれました。