「よも、でかくなったなぁ」

「ぎゃぁああ!?おおおお父さん!?おろして~!!!」

 なんで高校生にもなって抱き上げられているんですか!?
 それに重たいですよ!お父さんの細い腕に私の体重を支えられる力がどこにあるんですかー!?

「あらよも、女の子らしい声でそこは抱きつくのよ」

「お母さんは楽しそうに見てないでお助けを~!!」

 助ける気の全くないお母さん。お父さんの足元では智希と望亜がきゃっきゃっと喜んでるではないですか。


 そして私はどうすればいいんですか!?

 大パニックな私をお父さんはスタスタと運び、すとんっと下ろされたのはダイニングテーブルの真ん中の席。いつも食事を食べている席です。

 あっけなく下ろしてくれたことに呆然としていると、左右の席に智希と望亜が座る。
 そして、正面にはカメラを持ってきたお父さんと後ろ手になにかを隠したお母さん。

「え…えと?」

「せーの!」


「「よも「「ねーね!おたんじょうびおめでとう!」」」」


 智希の小さな手からクラッカーが飛び出し、望亜から抱きつかれ、お母さんが隠していたケーキを差し出して、お父さんは早速1枚シャッターを切る。

 驚いて声もでなかった私に、智希が慌てたようにお母さんの持つケーキを指差す。