「でもさー、なんで同じハブ中出身なのに龍介たちはモテるのよー。納得いかなーい!!ルリもモテたい!!!」

確かに。それはわたしも納得いかない。けど、

「女子は少し悪いくらいの男が好きなんでしょ。わたしは御免だけど。」

そう。思春期の女の子は少し悪いくらいの男の子に惹かれるものだ。わたしは御免だけど。

「アー!そうだー!ウアアアーずるい!ずるい男子ーーー!!!女子も単純過ぎだろー!ルリも御免よー!!」

ルリの大きな声で叫ぶ姿がやたらとツボにハマって、アハハハハハと笑いながら河川敷をゆらゆらゆるゆると自転車を漕ぎながら進む。

笑いも冷めて落ち着いてきた頃。学校からは随分離れてもうハブ中区域だ。

ふっと視線を遠く、遠い前へやる

「あっ…」

「ん?あ、あれワカサギ生じゃん。えーっと、緑に白のジャージは…バレー部か!!ひぇーこんな方まで走りに来てるんだ〜。」

「…」

自然と一列になり前から走ってくる彼の道を空けてあげる。

彼が近付くにつれて大きくなる彼の足音、彼の呼吸の音、…わたしの心臓の音……

「ァザッスっ…」

すれ違いざま、小さな声で簡潔にお礼を述べた彼の姿を振り返り小さくなるまでジーっと見つめていた。

輝かないわたしの高校生活のーーーー

「……ン!…え……っ…ば!」