「駄目よ。」


母は捨ててきなさいとは言わず、再び郁に背中を向けご飯の支度を再開した。




郁は足元の白を見つめて、そして顔を上げて言った。


「ちゃんと面倒見るから、お願いします!」




その言葉を聞いて、母は振り返った。


「…生き物を飼うのは大変なのよ?本当にちゃんと面倒見れるの?」




「うん!」


即答する郁に母は、「わかったわ。」とだけ言った。




「よかったね、白っ。」


郁が言うと、白は知ってか知らずか郁を見上げて「にゃあ」と鳴いた。