「じゃあどうして烏なの?他に黒いものなんて、沢山あるのに。」 「知らない。」 「そっか…」 「多分、」 カラスが言った。 奥から吐き出すように続けた。 「…皆、俺が嫌いなんだ。」 「…。」 掛ける言葉が見つからなかった。 カラスの立場だったら…って、気持ちが分かったから。 「…でも、皆が言うことが、真実とは限らない。時に流されてしまうけれど、真実はずっとその場所にある。」 「うん。」 「俺は大丈夫。」 「うん。」