君を好きになっちゃったんだ。

引っ張られた衝撃でバランスを崩して、なにかに突進してしまう。




「おっと…どこ行こうとしてたの」




突進した先は晴の胸で、ふわりと抱きとめられる。




いい匂い…




晴からいい匂いが漂っていて、このままで離れたくない。




でもそんなのは無理だから、しかたなく離れて晴の顔を見つめる。




「帰ろっか」




晴の言葉にコクリと頷く。




本当は、帰りたくなんかないけど…




突如目の前に現れる手のひら。




その手は晴の男っぽい手。




「桜ちゃん、またどこか行っちゃうでしょ?だから…」




なにもない手のひらにあたしの右手を乗せる。




あたしの手は晴の手で包まれて。




イルカショーの前みたいに、指と指が絡まり合う。




今だけは…




どうか今だけは、




晴の隣を、あたしにください。