ずっと一緒にいて。

「木原くん。貴方は架音の何ですか?彼氏ですか?親戚ですか?」

目に力を入れているような顔で俺を見ている雨木はそう言った。
…確かに俺は架音の親戚でもない。…彼氏でもない。言っちゃえば赤の他人だ。幼馴染という事でしかない。

「…違う…けど。」

と、俺が言うと待っていたかのように雨木は言葉をかぶせるようにこう言った。

「なら、過去の話はやめてください。架音には色々とあったのです。
架音の為にも、そういう詮索はやめてください。」

色々…。その色々の中身を知りたいんだ。なぜ、あんな性格になってしまったのか。
心を閉ざしてしまったのか。だが今、雨木に言えるような雰囲気ではない。
俺は素直に

「…ああ。分かったよ。」

俺の言葉に安心した雨木は肩をストンと落とし息をフウ…と吐いている。
そしてその後俺に向けた顔は

「…呑み込みが早くて助かりました。では、私はこれで失礼いたします。」

笑顔だった。そんな満足そうな笑みではないが微笑んではいた。
雨木の怒らせないように、と思って素直に理解して正解だったのだろう。

「いやぁ、さっすが華奈ちゃん。ほーんと怖いんだからあ。」

そう言ったのは、雨木に言いたい放題言われていた女とは思えないようにヘラヘラと笑っている須藤だった。