急になれなれしくしてくる人だ。まあ…仲間がいるなんて嬉しいから。

「ねえ…斗愛くん…斗愛くんって…好きな人はいるの…?」

なんだ…いきなり…この人急な事ばっかりだな。まあ、良いか。
って言ったって…好きな人…

「…架音…かな。」

思っていたことが口に出てしまった。架音の事は知っているだろうか…
そして、聞こえていないようにと願いながら雪花の方を見た…すると…
…可愛らしい雪花の顔の面影はなく…。怒りに満ちているような顔をしている。
…そんな雪花の顔が怖くなって雪花から少し離れる。
我に返ったのか雪花の顔は可愛い顔に戻った。

「あ!あはは…架音ちゃん…か。あの子可愛いよね…うん。応援するよ…!
私…応援するし、アドバイスもする!」

「そうか。ありがとう。これは…秘密だからな。」

雪花はにこやかに“もちろん!”と言った。応援してくれるのは嬉しい。
…雪花…架音の過去を知っているのだろうか。聞いてみるか…

「あのさ、架音の過去を知っているか?」

「…っ…」

動揺した雪花。何か知っているのだろう。雪花は俯きながら…

「…それは…その……。あの子の姉…。」

雪花が言いかけたその時だった。玄関から出てきた気の強そうな女が
俺たちの目の前に立ち、

「須藤さん。架音の過去を容易く教える気?あの子の事を考えなさい。
貴方は…木原斗愛…。木原さん。貴方は架音の何ですか?…やめてください。
架音の過去に立ち入らないでください。…架音の為に。」

…こいつは知っている。クラスメイトの雨木華奈。雨木の黒髪のロングヘアーが風になびいている。睨みをきかせているような目つきで俺を見てくる。

「須藤さん。貴女は軽すぎます。貴女が架音の苦しめるような行動に出た時…許しませんから。」