会社妻でもいいから・・・


鰻屋さんだ。
保坂社長が勝手知ったるという感じで店に入っていく。彼と私は遠慮がちに続いた。
座敷に通されると保坂社長は、「おまかせでいいやろ?」と一応私たちに確認し、人数分の注文をした。
途中店内で見かけたお品書きには、私の普段のランチの2倍も3倍も下手をすると、それ以上の値段が書いてあった。それだけで私の緊張は増してしまう。
「笹野さんもそんなかしこまらんと。すぐにおいしいのんが出てくるから」
「いえ。私も緊張しますよ。そもそもこのようにご馳走していただくようなことは何も」
「いやいや。もとはうちの発注ミスやから。改めてお礼を言わせてもらうわ。それとな、笹野さんにも一度会っておきたかったんや」