会社妻でもいいから・・・

彼が慣れた様子で、入口から建物の中に入っていくのに付いていく。
無人の受付に、電話機があり"ご用の方は内線を"と案内板が出ていた。
彼は受話器をあげ、ボタンをプッシュした。

程なくして人の良さそうなお年寄りがエレベーターから降りてきた。
「ごめん、ごめん。Bちゃんごめん」
と駆け寄ってくる。
あ、この声いつも聞く声だ。
彼が保坂社長を私に紹介し、私のことも紹介した。
「いつもお電話で失礼しております」と挨拶すると、「噂とおりべっぴんさんやないか」と誰に言うでもなく言うが、彼が慌てている。
彼がそんな噂話をするとは思えず、きっと保坂社長なりのジョークなのだろうと思った。
「うちのミスやのに、申し訳ないね」
と保坂社長が彼に謝る。