「母子家庭かー」

弟の言葉に笑顔ではい、と答えた

「今までどんな生活してきたのかしら??」

姉貴の問いかけにも嫌な顔せず答えた

「貧しい生活でした」

その言葉にお金目当てだと思ったのだろう

兄貴はため息をついた

「でも、幸せに暮らしてきました」

心からの笑顔で言うこの子の頭を撫でる

「兄と私と母は働いているので余裕もできました。弟は学生なのでなにかと大変なんですけどね」

困ったように笑うこの子はきっと

お金目当てだと思われただろう

もちろん、そんなつもりはないのかもしれないが

「弟さんの学費とか生活費はどうしているんだ??」

鋭い声の兄貴

だがその答えに家族だけじゃない、俺も驚いた

「弟の学費は私が、母と弟の生活費は兄がだしています」

「君とお兄さんが...??」

「はい」

『そんなこと聞いたことがない』

「はい、言ってませんから」

きょとんとした顔で言うこの子に少し腹がたった

『なんで言わなかったの??』

苛立つ俺に困惑しながらこの子は言った

「言う必要ないかと思って...」

『一言言ってくれたらよかったのに』

「そうよ、言えばお金出すわよ」