ピンポーン
「はい、いらっしゃい」
玄関の扉を開けたのは母さん
ガチガチになりながらもこの子は笑顔を浮かべた
母さんは少し驚いていた
それもそのはず
今までの彼女たちは俺の家族に気に入られようと
綺麗にはりつけた笑みばかり
自分の外見ばかりで緊張なんかしているようには見えなかった
母さんはきっとガチガチなこの子に驚いたのだろう
「さぁ、みんな待っているわよ」
「はい、お邪魔します」
ぺこりとお辞儀をして足を踏み入れた
ただそれだけのことが可愛くて仕方がない
「さぁ、どうぞ」
案内された先には家族みんなが待っている
威圧感たっぷりだ
その威圧感にビクッとなったこの子の背中に手を添える
俺にはそれしかできない
俺がいる、そう伝わるように
視線をこの子に寄せれば目が合う
途端、笑顔になる
いつもの笑顔に自然と笑みが溢れる
その様子を見ていた家族は目を見開く


