姉貴がこぼした言葉に首を振る
「それは嫌なんです」
「嫌ってなんで...??」
今までの彼女たちとあまりに違うこの子に弟は聞く
その問いかけは純粋なものだった
「私の家族のことは私達の問題です」
当たり前だというふうに答える
確かに当たり前というか、普通のことなんだとは思う
俺の家族だってそれくらいは分かっているはずだ
それでも信じられないと感じてしまう俺達
だって俺達の周りにはいなかったから
当たり前を当たり前だと言い切る人はいなかったのだ
「私は結婚に賛成しますよ」
静まる部屋に母さんの声
「僕もいいかなって思うよー」
弟は楽しそうに笑う
ほんの少しだけ和んだ
きっと父さんも兄貴も姉貴も賛成してくれたはず
お金目当てではないと思っただろうし
『ありがとう』
ついつい笑みが溢れてしまう
それほど嬉しいのだ
この子との結婚が
俺の隣にこの子がいてくれるということが
この笑顔を見れるということが


