「浴衣、似合ってる」
雄平先輩のために着たんですよ。
なんて言えないけど
褒められて顔が緩む。
「ありがとう、ございます。エッへ」
でも、そんな褒め言葉よりも
真剣に雄平先輩は口を開いた。
「生田ちゃんにはりとのこと
見ていてほしいからあんなこと
言ったんだ。」
ああ、ね。
やっぱり雄平先輩の恋の中には
わたしはいない。
だから、こんな優しいこと言っちゃうんだ。雄平先輩は。
「だから、要するに生田ちゃんには
りとがお勧めっていいたかったんだ。
りとはきっと…」
「好きなんですよね。わたしのこと。
知ってます。」
「うん」
「嬉しいですよホント。」
「うん」
なに強がってんだ私。
雄平先輩が好きなはずなのに
りと先輩に会ったとき鼓動が
早くなったりするのは、どうしてよ。
どうして、雄平先輩は「うん」しか
言ってくれないの?
わたしが好きなのは雄平先輩だよ?
「だからさ…りとのこと
もっと見てほしい」
「なに言ってるんすか先輩。
当たり前じゃないですか。」
「ありがとう…」

