灰色の瞳


「‥なに」


機嫌悪そうに、少しだけ私を見上げるようにした漆黒といっていいほどの黒い瞳。

二重なんだけど切れ長っていうか、綺麗で、吸い込まれるような強い瞳。


「寝ているのにごめんなさい。そこ、私の席なんです〜」


なんで私が謝ってんだ、って内心思いつつ、申し訳なさそうに、表の顔で言ってみる。


「‥あの女、准さんにまで手を出すつもりなのかしら」
「はあ〜!?調子乗るのもほどほどにしろよな〜」


聞こえてる。って、聞こえるよーに言ってるのか。

クラスのギャルが騒ぐ。



完全無視の私と、多分、准(じゅん)さん。