僕らの帰る場所は、人間界の家ではなく、あの村だ。

村は魔界にあるが10分ほどでつく。

村は赤く染まっていない。

そこらじゅうに瓦礫が転がっている広い敷地だ。


僕は椅子がわりになる瓦礫に座り、サツキを横にすすめた。

「ここは……?」

あたりを見回しながらサツキが問う。

「……サツキが思い出した赤い村」

「サツキに関係ある村?」

「そうだよ。ここで、僕らは暮らしてたんだ」

「そーなんだぁ!」

サツキは立ち上がりぴょんぴょん跳び跳ねた。

だがすぐに、立ち止まり振り替えって僕のほうを見た。

「なんで、サツキはここに住んでたこと、忘れちゃったんだろ。ラクは何か知ってるの?」

僕は少しためらいがちに口を開いた。


「……僕が、サツキの記憶を消したんだ」