「があああああ!」

叫んだ瞬間、悠希の回りから氷の粒が現れ、いきおいよくあちこちに飛ぶ。

「!?な、なんだこれ!」

氷の粒は鬼島先生の頬をかすめ、血が流れた。

「放せ!」

理央がそういうと鬼島先生から悠希を奪った。

すると氷の粒はなくなり、悠希は安らかに眠った。

呆然と立ち尽くす鬼島先生は口をパクパクさせて、頬をさすった。

「い、今のは……いったい……」

理央に目を向けた鬼島先生が今起こったことを聞き出そうとすると、先生の首からトスッという音がした。

楽が睡眠薬が塗ってある小さな吹き矢を指したのだ。

鬼島先生はバタリと倒れ眠った。

「ごめんね」

そういいながらもさげすむような目を鬼島先生に向ける楽。

こんな楽の姿は、見たことがない。

今回の事件で何か引っかかる事があったのだろう。

「ど、どうしたんだよ。悠希、理央……」

玲二が前に出て問う。

理央は目を伏せ、ぽつりと呟く。

「ただの、人間嫌いだ……」

帰る、といって理央が教室を出た。