「ゲホッゴホッ!埃ヤベェ!」

玲二が高いところの埃をはたくと、顔にかかってむせかえる。

それを見てクククッと隆が喉を鳴らす。

「埃が苦手なのかい?私は、平気だよ。埃は友達さ!ねぇ?ほこりん」

玲二は隆から離れた。玲二の顔はひきつっている。

ほこりんって何?ほこりんって!?

これは、玲二の心だ。

マジ引きしているのだ。

その様子を床をホウキで掃いている皐月が見て、ドン引きした。

「ぅえっ!?埃と戯れてる!キモ」

皐月の声は、隆の耳に届くのには十分な大きさだった。

「キモいとは、傷つくなぁ!ほら、見て。かわいいじゃないか」

隆のかわいいのツボはちょっとおかしい。

埃を両手に持って、くるくる回っているのだから。

「キモいよ。やめて」

楽は地味に遠ざかる。

くるくると回っている隆は教室のはしっこにいる悠希に近づく。