≪story1≫
「残念ながら、あなたの他にも付き合っている女性がいると思われます。」
私の正直な言葉に、今日のお客様は悲しい顔をした。
「あの、やっぱり…私じゃ、だめってことなんでしょうか?」
今にも泣きだしそうな彼女の声に、私まで悲しくなる。
顔に出そうになるのをこらえて、笑顔を作る。
「でも、大丈夫です。」
泣き出しそうな彼女の顔が、ぽかんとした表情に変わった。
「あなたのことをずっと見てくれた男性がいませんか?」
「見てくれていた・・・?」
詳しく占ってみましょう、と続けて再びカードをきる。
規則的に並べていくと、その男性についての結果を教えてくれる。
「その男性は、あなたより少し年上で、どちらかというと物静かな方です。」
彼女は思い当たるのか、少し眉間にしわをよせた。
「ですが、あなたはその男性をあまり良くは思っていません。」
眉間のしわがどんどん深くなる。
「ですが、よく思い出してみてください。」