キミの首輪に、赤い糸を。

「では、僕はこの辺りで、お暇しますね」


そう言って如月さんは手早く帰る用意を始めた。


「バイバイ、きさらぎ」

「あぁ。和咲さんを困らせるなよ」

「分かってるよー」

「では、和咲さん。真白のこと、よろしくお願いします」


そう言って深々と頭を下げる如月さん。
恭しく、そして、丁寧に。

大人っぽくて、余裕が感じられる。

だけど真白と話すときはどこか少しだけ幼くなったように見える。
真白には、気を遣わないでいられるのかな。

如月さんを送るために玄関まで行き、如月さんが出ていった後、私達はリビングのソファに並んで座っていた。


「んー。なんかこんなにのんびり誰かといるのって久々かも」


真白が不意にそんなことを言う。


「えっ、如月さん、あんまりいないの?」

「あー、うん。きさらぎ、すごく忙しいの。僕が働いてないときは無職に近いから、他にも仕事してるし」

「そうなんだ...」


じゃあ、真白は寂しかったりしたのかな。

明後日から学校が始まるし、真白を一人にするの、なんか可哀想かも。


「あ...僕に気を遣って無理に家にいなくても大丈夫だからね。僕の存在に縛られたりしちゃダメだよ」


真白は、勘が良いのかな。
なんとなく、真白はそのせいで傷ついてしまう気がする。

人の心を読み取りすぎて、その内容に落ち込んでしまうんじゃないか、気を遣いすぎてしまうんじゃないか。

真白を見てると、そう思ってしまう。