すると、ステージに背の高いあの人が上った。


「…!!伊吹くんっ?」


もしかして、私に…?


「おっと、琴李の出番じゃん」


ニヤニヤしないの、千和!


伊吹くんはキョロキョロと視線を動かし、しっかりと私を捉えるとニコリと微笑んだ。


「来いよ」


言われる前に、私は動いていた。


人混みをかき分けて、私は進む。


『えっ、何?カップルなの?』


『できてんのかよ?』


通りすぎる度に、そんな声が聞こえる。


そうだよっ、みんな!


「伊吹くんっ!!」


ステージへと続く階段に足をかける。


ライトに照らされた王子様が、手を差し伸べている。