「わっ、私もう行くよ!……わぁっ!?」
黒幕を出て行こうとした時。
私は伊吹くんに抱き寄せられたかと思うと、何かに包まれた。
「高瀬くん、大丈夫?」
「えっ、何が?大丈夫だけど」
それは伊吹くんが羽織っているマントで。
足元まであるマントが、私をすっぽり隠している。
おかげで委員長が顔を出した時には、既に私は見えていなかった。
「そう。だったらいいけど」
やばい。
やばいよ、ドキドキが聞こえちゃうっ…。
マント越しに、カーテンが閉じる音が聞こえる。
「…ふう、もう大丈夫だ」
解放された私は、どんな表情をすればいいのか分からなくて。
「で、では私はこれにて!さらば!」
なんて意味不明なセリフを小声で残し。
「ちょ、お前ひとりで行けんのかよっ…!」
オバケが待ちうけるオバケ屋敷へと、戻ったのであった。
「ひぃぎゃああっぁあああ!!!」
私の叫び声が廊下まで響いたのは、言うまでもない。
それを聞いた彼は
「バカかよ、あいつ」
笑いを堪えるしかなかったようです。