「人の彼女取るなよな」
「さすがの俺でも取らねーよ!」
「いや、お前ならしかねない」
「はあ!?ひっでーなイブくんは」
イブくんって呼ばれてるんだね。
そんな中、春樹くんが違う方向を向いていた。
何見てるのかな?
視線を動かせば、そこには女王様の格好をした千和がいた。
「千和、似合うでしょ?あの格好」
話しかけると、春樹くんは驚いて顔を上げた。
「…うん、そうだねー」
笑顔こそいつも通りだったけど、なんだか悲しそうに見えた。
ううん、それよりも…“悔しい”って言葉が合うかも。
どうしてそんな表情をするのか、私には分からなかった。
