「ただいまぁ…もう嫌ねぇ雨なんて。
あらぁ?琴李〜?誰か来てるの?」
そうこうしているうちに、玄関からお母さんの声が聞こえた。
「あ、帰って来たみたい」
バタンと大きな音をたててリビングのドアが開くと、買い物袋をたくさん提げたお母さんが驚いた顔をしていた。
「あらあらまあまあ!だあれこの大きな子!まさか琴李の彼氏!?きゃ〜お赤飯買ってこなくっちゃ!」
ひとりで盛り上がっているお母さんに、私は駆けよる。
「この人は彼氏じゃないよ。ちょっと…事情があって」
買い物袋を受け取りながら否定するも、お母さんの顔はにやけたまま。
「俺手伝いますよ」
残りの袋を軽々持ち上げるのは高瀬くん。
「あらぁ…ありがとう!」
もう…絶対勘違いしてる!
