「でっ?伊吹のこと好きな子って、どんな子なん?」
悲しいムードから一変して、栞さんは目を輝かせて質問する。
「えーっと、小さくて…」
親友でもこのワードがいちばんに出ちゃう。
すまん、琴李。
「笑顔がとびきり可愛くて、明るくて元気で…たまにうるさくて」
「なんか想像するだけで可愛いなぁ♪」
ええ、可愛いですよ、ほんとに。
「きっと高瀬くん…弟さんも、その子のこと好きだと思います」
「えっ!ほんまに?お姉ちゃん嬉しいわぁ♪」
この姉弟は笑顔が似ている。
くしゃってなる笑い方。
本当に嬉しそうに笑う彼女に見惚れていると、一際大きな花火が上がり、辺りは拍手に包まれた。
「終わってしもうたなぁ…」
今年の花火はこれで終わり。
きっと親友の恋を祝福してくれてるのだろう。
今まで見た中で、いちばん綺麗だった。
「そうだ!もう少し、付き合うてくれん?」
栞さんのお誘いを受け、私たちは終わりかけの屋台へと向かった。