晴れて恋人同士になった私たちは、終わりかけのお祭りへと戻った。
「なあ、琴李」
「なに?高瀬くん」
隣を歩いていると、名前を呼ばれる。
名字じゃなくて、下の名前。
「名前、呼んで?」
「??…高瀬くん?」
「違う。そっちじゃない」
…やっぱり?
「えーと……い、伊吹…くん」
「ん。よく出来ました」
高瀬くん…じゃなかった。
伊吹くんは満足気に私の頭を撫でる。
好きな人から名前を呼ばれるのって、嬉しいよね。
「えへへ…」
「何ニヤけてんの」
「んなっ…ニヤけてなんか…!」
「嘘つけ」
「伊吹くんだって、ニヤけてるくせに!」
「かなりニヤけてるけど?」
「む…!?」
まさかの正直さに、言葉を失う。