デコくんとボコちゃん


「っ月島!!」


知ってる声が、大好きな声が私を呼ぶ。


「…なんで……」


見ると、階段の上に高瀬くんがいた。


私は立ち上がって、また走りだそうとする。


けれどここは階段だから、すぐに追いつかれてしまう。


「逃げんな」


腕を掴まれて、その真剣な声にビクッとしてしまう。


どうして、来たの…?


「…あれっ?高瀬くん、偶然だね!」


涙を拭いて必死に笑顔をつくる。


でも涙は止まってくれない。


「なんで泣いてんの?」


やっぱり、バレちゃうよね。


「…こ、れは……」


言い訳が思いつかなくて、言葉を詰まらせていると。