──ザザー…
あー…海っていいね。
私、佐々木千和。
黄昏れてるなうでございます。
こんな綺麗なとこに来られるなんて…
春樹くんのおかげだね。
砂浜に座って、時折足元に流れてくる波と戯れていると。
「千和さん」
背後から、私を呼ぶ声がした。
低くもなく、高くもなく。
私の好きな声が…
「…俊さん」
背筋のしゃんと伸びた、爽やかな彼。
両手には、トロピカルなジュースが。
「これ、どうぞ」
俊さんは片方のジュースを渡すと、私の隣に座った。
「ありがとうございます」
一口含めば、フルーツの香りが広がる。
「…おいしい」
「でしょう」
隣で得意げな顔をする俊さんに、なぜだか見惚れてしまう。